Tamiko

フィドル
アイルランド音楽の歴史

アイリッシュフィドルの特徴

アイルランドの伝統的な音楽で用いられるフィドルはバイオリンのことですが、アイリッシュフィドルの奏法はとても特徴的です。右手の弓は、音を出し、音の長さを決めるだけでなく、弓の圧のかけ方によって、奏者の個性である音色、アクセント、フレーズにおけるニュアンス、イントネーションなどを生み出します。

ダンス音楽におけるジグ、リール、ホーンパイプ、ポルカといった曲の種類のそれぞれ特徴的なリズムは、アップボウ、ダウンボウ、スラーなどを組み合わせたボウイングによって決定づけられます。また、ボウイングの付け方によって、フレーズの区切り方やニュアンスが変わったり、アクセントの位置がずれたり、スイングのリズムがついたりします。このように、曲の出来栄えのほとんどが決まるのでボウイングはとても重要です。

また、装飾音も、演奏を決定づける要素になります。左手のフィンガリングと右手の弓の双方のやり方の組み合わせによって、ロールやトレブル、スライドなど、さまざまな装飾的効果が生まれます。

フィドルの弦の調弦はGDAEです。すべての曲を基本の位置であるファーストポジションで弾きます。ポジション移動はありません。曲は楽器の奏者によって作られるので、音域や音の並びなどに奏者が用いる楽器の特徴が出ます。例えば、G線を含む曲は、つまり、C#より低い音を含む曲は、伝統的に用いられる楽器(パイプやフルート)の中ではフィドルしか出せないので、特にフィドルチューンと呼ばれます。また、ケリー郡とドニゴール郡では、音域がD線のGの音より低くない曲に、オクターブ違いの演奏が伝統的に行われます。

以上のような、ボウイングの付け方、装飾音のやり方は奏者によって様々に違います。さらに、メロディー上のバリエーションの付け方、曲の種類の違い、レパートリー曲の違い、オクターブ違いの演奏、重音の取り入れ方、微妙なイントネーションの違いなどのさまざまな演奏上の要素によって、地域ごとのフィドルのスタイルであったり、それぞれの奏者の個性となったりします。